通常国会召集 補正予算・本予算の早期成立を
2020.01.22
20日に召集された通常国会は波乱含みの幕開けだ。先週17日の政府与党連絡会議で、安倍晋三首相は「国民に約束した政策を確実に前に進めることで、新時代の安心と成長を実現する国会にしていきたい」と述べて、与党の協力を求めた。
そこで、私は「国民の批判に真摯(しんし)に耳を傾け、緩みやおごりと受け止められることがないよう臨みたい」と語り、自民党の二階幹事長も「初心を忘れず、謙虚で丁寧な国会運営をしたい」と応じた。
日本経済の先行きに、海外発のリスクの影響や東京五輪・パラリンピック後の需要動向など不透明感があるなか、19年度補正予算案と20年度予算案の早期成立を図ることが、最大の景気対策となる。安倍首相は「確実に」進める政府の責任を強調した。
一方、野党は、昨年に続き、首相主催の「桜を見る会」や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件を徹底追及するだろう。各種世論調査でも、政府や当事者の説明責任をなお求める声も強く、こうした厳しい国民の視線を受け止めて、政府与党が結束して国会運営に当たることが重要だ。
補正予算案には、昨年の相次ぐ災害に対する復旧・復興の措置が盛り込まれており、被災地に一日も早く届くようにしなければならない。また、事業規模26兆円の経済対策を盛り込んだ予算案を早期成立させ、先の見通しが立つようにすることも大切である。
海上自衛隊の中東派遣 安定実現する外交努力も
11日から、公明党の指摘を盛り込んだ閣議決定に基づく海上自衛隊の中東派遣が始まった。これをめぐって国会では、閉会中の17日、衆参の委員会質疑が行われた。
政府は、昨年から緊張が続く中東に、石油・天然ガスの輸入の9割を依存することから、日本関係船舶の安全を確保するために、まず外交努力を優先し、船舶の安全航行を図ってきた。
さらに、安全航行に必要な情報を補うために、わが国独自に海上自衛隊の護衛艦1隻とP3C哨戒機1機を派遣し、情報収集活動を行わせることとした。
年始に、米国がイランの司令官を殺害し、イランもイラクの米軍駐留拠点を弾道ミサイルで攻撃するなど一気に緊張が高まったが、日本をはじめ国際社会が自制を求めるなか、双方が事態のエスカレートを回避する行動をとった。
安倍首相は、慎重に事態を見ながら、予定通り中東訪問を実施し、関係国の理解と協力を得て、派遣の実施に踏み切った。
立憲民主党や共産党などの一部野党は、派遣に反対のようだが、「政権を目指す」と口にするこれらの野党はどのような責任ある対応をすべきだというのか。不測の事態が起きれば、資源の依存度が高い日本に経済や国民生活への影響が及びかねない。
日本の同盟国である米国と、友好国であるイランの対立が続くなかで、日本は対話によって中東の緊張を緩和し、安定を実現する外交努力を重ねる必要がある。
(公明党代表)
【2020年1月22日(21日発行)付 夕刊フジ掲載】