新型コロナ、日本は医療崩壊を招かずギリギリで踏みとどまっている
2020.03.18
世界保健機関(WHO)が11日、「新型コロナウイルスの感染拡大はパンデミックといえる」と宣言し、世界的な大流行になっているとの認識を示した。「中国以外でも、過去2週間で、感染者数は13倍、感染国は3倍になった」と理由を述べた。
特に、中国、イタリア、イラン、韓国、スペインなどで感染者や死者の数が大きく増えている。感染は、欧州や米国にも広がり、アフリカにも及ぶ様相であり、今や、世界147の国や地域で15万人を超える感染者と6000人に及ぶ死者を出すに至った。
日本では、感染者が日々増えてはいるものの、16日現在、感染者1530人、死者31人(クルーズ船とチャーター機を含む)と、医療崩壊を招かないギリギリの線で踏みとどまっているように思われる。
これは、日本が「換気」「手洗い」「密集回避」などを励行し、上下水道の普及など「公衆衛生環境」が整い、国民皆保険による「高い医療水準」などによって、クラスターを追跡して感染拡大を防ぎ、重症化やそれによる死亡を抑制できているからと考えられる。
一部の識者やワイドショーが当初、「希望者全員をPCR検査せよ」と声高に叫んだが、冷静な報道や論調で「医療崩壊を招いてはならない」との認識が広がり、落ち着きをみせてきた。
ある新聞のコラムに「野党・マスコミの追及も、民心の動揺を鎮める提案型の発信でありたい」とあった。人々の生命と生活、さらに人類の生存がかかっているときである。不確かな情報で不安を煽るような言動は慎まねばならない。
東京五輪、選手が安全に心置きなく力を発揮できるように
先日、ドナルド・トランプ米大統領が「東京五輪を1年延期すべきだ」と語ったのには驚いた。日本の大会組織委員会の理事からも「1、2年延期」を示唆する声もある。
安倍晋三首相は14日の記者会見で「感染拡大を乗り越えて、無事予定通り開催したい」と述べた。開催都市・東京はもちろん、「復興五輪」を掲げて頑張ってきた全国の被災地やホストタウンの努力の積み重ねを思えば、招致国の責任者として、安倍首相の発言は当然である。
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は12日、「延期や中止を判断する際は、WHOの助言に従うだろう」と述べた。決定権はIOCにある。
日本側に決定権はないが、開催の障害となる新型コロナウイルスの影響を排除する責任がある。
13日に成立・施行された改正新型インフルエンザ等対策特別措置法による「緊急事態宣言」は、国民の生命と健康を守るために必要となれば、決断しなければならない。しかし、出せばその間、五輪開催は困難、解除しても時間がかかる。
できれば、参加希望国の選手が安全に心置きなく力を発揮し、それらの国の多くの応援者がこぞって楽しめる開催を目指したい。
(公明党代表)
【2020年3月18日(17日発行)付 夕刊フジ掲載】