新型コロナ「学生支援」「家賃支援」など、第2次補正予算成立を急ぐ
2020.05.20
安倍晋三首相は14日、全国に拡大していた新型コロナウイルスの緊急事態宣言について、39県を解除した。ただ、東京都や大阪府など8都道府県は維持している。
緊急事態宣言で大型連休の人出を抑えた結果、新規感染者は減少傾向に転じ、感染経路の分からない感染者も減りつつある。
政府は21日にも、8都道府県の状況を見て、月末までが期限となっている緊急事態宣言解除の可否を検討する。
しかし、気になるのは、大型連休が終わった後に人出が増えていることである。これまで検査結果に反映されているのは、2週間ほど前の大型連休中の結果である。この時間差を意識しないと警戒感の緩みにつながる。
特に、先週からの動きの結果は21日では反映されきれないことから、28日ごろまで見極めていく必要がある。感染拡大をぶり返さないことが大切であり、「第2波」が避けられないとしても低く短く乗り越えなければならない。
18日発表の1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は年率マイナス3・4%と2四半期連続のマイナスとなった。4|6月期は緊急事態宣言の影響でさらに深刻になろう。世界的大流行(パンデミック)のもと、危機的な経済状況は世界恐慌以来とされている。
3月から顕著となった感染拡大の影響を受けて、2020(令和2)年度予算成立後、速やかに第1次補正予算を実施し、安倍首相は14日、第2次補正予算の検討を指示した。
実施までのタイムラグを考慮すると、予備費を使用して切れ目のないスピード感ある実行が望まれる。
例えば、「学生支援」は公明党の提案を皮切りに自民案や野党の意見も踏まえて、ほぼ内容は固まっている。早急に予備費を使って実施すべきである。
「家賃支援」については、事業継続のための固定費を家主・借り主、国と地方が分担する発想が基本である。ここでも、家賃支援のニーズが高い大都市の取り組みを国が後押しするため、予備費活用を先行して大都市の制度設計を促す取り組みが有効だ。
野党の一部に、「現金給付の第2弾」を求める声がある。第1弾の給付はこれから本格化し、解除になった39県で経済活動も前向きになることを考えると、状況を見極めていくことが肝要だ。
中には、「消費税減税」の訴えもある。消費税は全世代型社会保障を支える不可欠の財源であり、この窮状で年金・医療・介護・子育てなどのセイフティーネットの役割は極めて重い。
所得税や法人税などの落ち込みが予想されるなか、歳入を支える消費税の役割はますます大きい。消費税減税は控えるべきだ。
与党は18日、安倍首相と二階俊博自民党幹事長との会談を受けて、自公の幹事長・国対委員長会談を開き、検察庁法を含む国家公務員法等の一部改正案を継続審議とする方針を決め、野党は武田良太行政改革担当相の不信任案を取り下げた。
コロナ対策を最優先し、第2次補正予算成立へスピードアップを図りたい。
(公明党代表)
【2020年5月20日(19日発行)付 夕刊フジ掲載】