「新しい生活様式」厳守を
2020.06.03
新型コロナウイルスの緊急事態宣言が5月25日、全国的に解除された。政府は当初、31日までとしていた東京と神奈川、千葉、埼玉の4都県と北海道への宣言を、前倒しで解除した。
これを受けて、各地で外出自粛や休業要請を段階的に緩和している。例えば、東京都では、博物館・美術館や図書館の再開を認める「ステップ1」を経て、6月1日から「ステップ2」として、休業要請していた商業施設や映画館などの営業再開を認めた。
ようやく、「感染拡大に警戒」しながら、「社会経済活動の再開」を段階的に進めていく次元に入った。
一方で、北九州市のように、ひとたび感染を押さえ込んで、感染者ゼロ状態を続けながら、突如、感染者が10日間で100人に達する第2波ともいうべき動きも見られる。東京でも解除後の5月末にかけて、大型連休明けの人々の動きを反映した感染者の増加が見られた。
引き続き、第2波、第3波への懸念も強いなか、国民一人一人が、手洗い、消毒、うがいなどを励行し、密閉、密集、密接の「3密」を避けながら、不要不急の外出を控えるなど「新しい生活様式」を厳守していくことが大切である。
新型コロナウイルス対策で、政府が閣議決定した2020年度第2次補正予算案が評価されている。
国の財政支出を表す「真水」が31・9兆円と、1次補正を上回る史上最大規模で、民間投資などを含めた事業規模は117・1兆円となる。わずか1カ月半の間に、1次補正と合わせて234兆円、GDP(国内総生産)の約4割に昇る事業規模の経済対策は世界に例を見ない。
1日の政府与党連絡会議で、私が強調したのは、給付金などの支援策を1日も早く国民に届けることである。それを受けて、安倍晋三首相もスピード感をもって支給する政府の取り組みを確認した。
1次補正の実施で、マイナンバーカードを利用したオンライン申請などをうたいながら、遅れが生じたところもあり、野党や一部メディアから海外と比較して「遅い」と批判された。結果的に文書申請の方が確実で早かったようだ。
これには、マイナンバーカードの普及率が2割にも満たないことや、個人情報の一元的把握の範囲が限定的であること、個人の銀行口座などとのひも付けが実施されていないことなどがネックと指摘されている。
これまでも、スピード感のある給付を実施したくても、オンラインシステムのインフラ整備が不十分で、旧態依然たる書類の郵送・持参による遅れが悩みの種だった。
また、便利さを実感できないこととともに、役所側が個人情報のずさんなデータ管理で信頼を損なうことも、マイナンバーカードの普及を妨げる要因ともいわれてきた。
国民が求める利便性と信頼性の確立が、これからの制度設計の鍵となる。
(公明党代表)
【2020年6月3日(2日発行)付 夕刊フジ掲載】