コロナ教訓に日本経済再生図る
2020.06.17
通常国会が17日に閉会する予定である。1月20日に召集された直後から、新型コロナウイルスの感染拡大という「国難」を受けて、日本の政治が問われ続けた国会だった。
政府・与党は、「未知の感染症」に試行錯誤を重ねながら、専門家の意見を聞いて冷静かつ果断に対応した。
当初、一部野党やマスコミから「PCR検査の数が少なすぎて、潜在的な感染拡大を放置している」などと国民の恐怖を煽るような批判や報道もあった。
しかし、専門家会議の分析によれば、日本はSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)などの感染拡大を経験しなかったため、検査能力や専門病床が限られる。そこで医療崩壊を招かないように新型コロナウイルスの疑いのある人に検査を絞り、重症化リスクの高い感染者に重点的治療をする戦略をとったという。
徹底したクラスター対策や緊急事態宣言による外出自粛や休業要請を重ねて、ひとまず、感染拡大の山を越えた。国民や事業者の協力と医療従事者の献身的取り組みの賜である。
結果として、感染による死亡者数は欧米の医療先進国と比べても少なく、世界が「ミラクル」というくらい人口比もケタ違いに低いことは誇ってよい。
いずれにしても、「第2波」に備え、検査態勢の充実、医療提供体制の整備、ワクチンや治療薬の開発など教訓を生かした取り組みを急がなければならない。
一方で、大きく打撃を受けている経済の再生がこれからの重要課題である。急速な感染拡大と緊急事態宣言によって、雇用や事業継続に急ブレーキがかかった。
2020年度第1次、第2次補正予算によって、雇用調整助成金の拡充による雇用維持、持続化給付金による事業継続、特別定額給付金による生活支援、税金や社会保険料の猶予、融資・保証枠の拡大など当面の対策は用意した。10兆円の予備費で今後の事態変化にもスピード対応できる。
ポストコロナ時代のニーズも芽生えた。いずれ客観的な検証も必要となる。国会閉会後、政府・与党の体制を整えて、日本経済復活へ力強い歩みを開始しなければならない。
東京都知事選が18日に告示される。小池百合子都知事は先週12日、再選に向けて出馬表明し、政党には推薦や支持を求めないことも明言した。その後、私にあいさつの電話があった。
次期都知事には、感染者が絶えない新型コロナウイルスへの対応とともに、1年延長された東京五輪・パラリンピックを政府と一体となって成功させる使命がある。
小池都政のもとで、都議会公明党が推進した「私立高校生の授業料無償化」や「ドクターヘリ導入」など政策の積み重ねがあり、国が東京都を含む大都市に特別に配慮した臨時交付金など継続性のもとで活用が期待されるものもある。
名乗りを上げた予定候補のなかでそれらを委ねられるのは小池氏しかいない。公明党は推薦も支持も出さないが、実質的に応援したい。
(公明党代表)
【2020年6月17日(16日発行)付 夕刊フジ掲載】