衆院選では自公過半数の維持を
2021.07.12
東京都議会議員選挙の投開票が4日行われた。新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」がとられるなかでの異例の選挙戦となった。街頭演説や屋内集会が大きな制約を受け、梅雨時の悪天候と重なり、情勢がよく見えない。まさに五里霧中であった。
結果は、自民党が33議席と回復したが伸び悩み、目減りをとどめた都民ファーストの会の31議席をわずかに抑えて第1党を確保した。公明党は擁立候補23人が「全員当選」し、連続8回目を記録した。選挙協力した自公で過半数に届くかも注目されたが及ばなかった。
確かに、コロナ感染者数の上下は政権与党への支持に直結するし、期待の大きいワクチン接種がスピーディーに混乱なく進んでいるか否かも影響する。長引く感染状況は、経済や生活にも打撃を与えており、東京五輪・パラリンピックの開催にも感染拡大の不安がよぎる。
野党は、こうした不安や不満の矛先を政府与党に向けて、容赦なく批判を重ねた。受け皿となった立憲民主党は15議席、共産党は19議席と、事実上の選挙協力を含めて議席を伸ばした。
しかし、与党は、コロナを乗り越え、経済の落ち込みを抑え、回復軌道に戻していく責任があり、東京五輪も、感染を防ぎながら開催国として国際的責任を果たしていかなければならない。これらを同時に達成するのは至難の業といってよい。
新たな都議会は、知事選とは異なる民意を反映した二元代表制のもとで、自公を軸として、都民ファーストとも協調しながら合意形成を図り、安定した都政運営を模索することになるだろう。
小池百合子都知事は5日、公明党本部に私を訪ね、コロナの感染状況と対応を説明し、五輪開催を含めて協力を求めた。東京五輪が目前に迫るなか、感染から国民を守り、開催都市に恥じない運営ができるよう協力を約した。
東京五輪・パラリンピックを経て、次期衆院選を迎えることになる。このたびの都議選は中選挙区制のもと自公で過半数をとれなかったが、政権選択が問われる次期衆院選では、その教訓を活かし自公で過半数を維持しなければならない。
このたび、中国共産党が創建100年を迎えた1日、北京の天安門広場で祝賀大会が盛大に開かれた。人民服の正装で現れた習近平総書記(国家主席)は、「われわれをいじめ、抑圧しようとする外部勢力を中国人民は絶対に許さない」「台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは党の歴史的任務であり、平和的な統一を進める。いかなる『台湾独立』のたくらみも断固粉砕する」などと演説した。
自由・民主主義国の危惧を高めかねない過激な表現を交えているが、権威主義国のリーダー独特の言い回しでもある。冷静に受け止め、事態をエスカレートさせず、油断なき警戒と毅然(きぜん)たる対応が必要である。
(公明党代表)
【2021年7月7日(6日発行)付 夕刊フジ掲載】