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ブログ「本音でズバッと」

掛け替えのない「日本の政治資産」失った

2022.07.13

参院選は10日投開票が行われた結果、自民党が改選議席の過半数63議席を得て大勝した。公明党は、7選挙区が全員当選、比例代表で6議席にとどまり改選議席を1つ減らしたが、与党で76議席と安定的な参院の基盤を確保した。

野党は、日本維新の会、れいわ新選組、NHK党が議席増、立憲民主党、国民民主党、共産党は議席減、総じて議席が分散する結果となった。非改選と合わせると自民党は119議席で単独過半数に届かず、公明党の27議席を加えて、過半数125議席を上回る146議席となる。11日の自公党首会談で、結束して謙虚な政権運営に当たることを確認した。

18日間に及ぶ長い選挙戦は異例ずくめだった。

最大の関心は「物価高」であり、即効性のある具体策が注目された。生活困窮家庭や子育て家庭への現金給付、燃油、食料品などの高騰抑制への補助、自治体への交付金による地域対応、賃上げの促進など一連の具体策に、有権者は「満足とはいかないが、これからも補正予算などを活かして対策を重ねてほしい」との反応が大方だ。

野党は「消費税率の引き下げ」を訴えたが、社会保障の安定財源である消費税の代替財源に説得性を欠き、実施まで時間がかかることに効果が疑問視された。

早い梅雨明けで連日猛暑が続き、政府は電力供給の逼迫(ひっぱく)を回避するため、ポイント付与による節電を呼びかけたが、有権者は「長い夏場の熱中症を避けたいけど、エアコン使用による電力料金負担が心配だ」との声が強かった。私はその軽減を図る対策を呼びかけ、G7(先進7カ国)首脳会議出席のためドイツにいた岸田文雄首相がこれに応じる一幕があった。

「財政の持続可能性」や「憲法改正」といった遠大なテーマは、関心が高まらなかった。

岸田首相が帰国して終盤の遊説に拍車がかかるなか、安倍晋三元首相が凶弾に倒れる事件が起こり、事態は一変した。

演説中の安倍氏の背後から銃撃するという衝撃的な映像に、激しい憤りを覚えた。民主主義といってもそれを実践するのは選挙であり、参院選はその根幹をなすものだ。

その演説を銃撃で封じることは決して許されない蛮行だ。事件の直後は、蛮行の連鎖に身構えたが、政府与党で「決して屈しない姿勢を示すことが大切」との認識を確認したうえで、最終日の遊説に臨んだ。

私は街頭演説で、安倍氏の数ある業績の中で、2つ紹介した。

1つは「社会保障と税の一体改革」に関する民主・自民・公明の3党合意に基づき、消費税率の10%までの引き上げに合わせ軽減税率を実施し、幼児教育保育の無償化など全世代型社会保障の基盤を整えたこと。

もう1つは、アベノミクスを進めて、もはやデフレではないという状況をつくり、成長と分配の好循環のきっかけをつくったこと。これらを岸田政権でさらに発展させていくことが大切だと訴えた。

昼食懇談する際に、私の好物「納豆」を出してくれた、安倍元首相の優しい心遣いも披露した。

安倍氏の急逝が、最終盤の投票行動に影響を与えたことは間違いない。掛け替えのない日本の政治資産ともいうべき人を失ったことが悔やまれる。

(公明党代表)

【2022年7月13日(12日発行)付 夕刊フジ掲載】