北朝鮮の相次ぐミサイル発射 国民の生命と安全を脅かす暴挙
2022.10.12
このところ北朝鮮からのミサイル発射が相次いでいる。9日時点で、今年25回(=巡航ミサイルを含めて)。先月25日以降で7回という頻繁さだ。4日には、5年ぶりに日本の青森県上空を通過して、太平洋に中距離弾道ミサイルを撃ち込んだ。
10日は、北朝鮮の「朝鮮労働党創立77周年記念日」であり、同日付の「労働新聞」で、先月25日から9日までの一連の発射は、日本海での日米韓共同訓練に合わせた北朝鮮人民軍の「戦術核運用部隊の訓練」であると報じた。4日のミサイルは「新型の地対地中長距離弾道ミサイルだ」として、日米韓への対決姿勢を強調した。
軍事専門家によると、一連の行動は北朝鮮単独のものではなく、ロシアや中国とも連携しているとの見方も多い。5日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合でも、ロシアは中国とともに弾道ミサイルを発射した北朝鮮を擁護し、安保理として声明を出すことに反対した。
この相次ぐミサイル発射は、安保理決議に違反し、地域と国際社会の平和と安定を損なう重大な挑戦であり、断じて容認できない。特に、4日の青森県上空を通過した弾道ミサイルは、日本国民の生命と安全を脅かす暴挙であり、日朝平壌宣言にも反し、厳しく非難しなければならない。国会は、衆参で北朝鮮非難決議を行った。
にもかかわらず、ウクライナ侵略で孤立するロシアを後ろ盾に、場所、時間を問わず多様なミサイル発射能力があることを誇示する北朝鮮の暴走は、懸念される核実験にも及ぶかもしれない。
臨時国会が3日召集され、岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が行われた。私も7日、参院で行った。
岸田首相は「未曾有の国難に直面している」として、新型コロナ対策、物価高対応、賃上げ、成長戦略など総合経済対策に臨む方向性を示し、「リアリズム外交」を掲げて、防衛3文書や防衛費についても基本姿勢を述べた。
立憲民主党は、提案型から批判型に転換し、衆院議長にまで批判の矛先を向ける演説態度が返って非難を浴びる結果となった。
国民生活が困難にぶつかっている局面である。与野党ともその認識は共有しているのであるから、もっと建設的な具体策の提案がなされるべきだ。予算委員会に期待したい。
国会で実施が検討されていた安倍晋三元首相の追悼演説を、立憲民主党の野田佳彦元首相が受け入れた。以前、自民党の甘利明氏の名が取り沙汰されたが、慣例的に歴代首相の追悼演説は野党の議員が行ってきたことから、落ち着きの良い結果となった。
立憲民主党の幹部が、安倍氏の「国葬(国葬儀)」に欠席するなか、野田氏は「欠席は人生観から外れる」として出席した。野田氏でなければできない追悼演説を、心を込めておこなってもらいたい。
【2022年10月12日(11日発行)付 夕刊フジ掲載