国連安保理決議違反を繰り返す北のミサイル発射 臨時国会前半では安全保障の真剣な議論を
2022.11.09
北朝鮮は2日から4日間、立て続けに弾道ミサイルなどを発射した。そのうち3日に発射した1発はICBM(大陸間弾道ミサイル)とみられる。いずれも日本のEEZ(排他的経済水域)に達することはなかった。
朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は7日、米韓空軍の大規模軍事演習に対応する「軍事作戦を行った」と伝えた。先月から頻繁に繰り返されるミサイル発射で緊張を高め、「7回目の核実験」を強行するのではないかという懸念も深まっている。
米国家安全保障局(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は2日、「北朝鮮がロシアに大量の砲弾を極秘供給している」と公表した。そうだとすれば、北朝鮮は東アジアの安全保障環境を脅かすばかりでなく、ウクライナ侵攻を続けるロシアの暴挙にも加担していることになる。
ドイツ訪問中の林芳正外相は3日、アナレーナ・ベアボック外相とともに日独の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)に出席した。浜田靖一防衛相とクリスティーネ・ランブレヒト国防相はオンラインで参加し、国際社会と連携しながらロシアへの制裁とウクライナ支援を継続するとともに、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に連携して対応することを確認した。
5日のG7(先進7カ国)外相会議でも、北朝鮮の一連の弾道ミサイル発射は国連安保理決議に違反すると非難し、核兵器や開発計画を廃棄するよう求めた。
臨時国会前半の論戦は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題が目立っているが、日本の安全保障やウクライナに関する国際問題についても真剣な議論がもっとなされてしかるべきだ。国家安全保障戦略など「安保3文書」策定の基礎を掘り下げる議論が期待される。
産経新聞が4日朝刊で、「日中両政府は、11月中旬に東南アジアで開かれる国際会議に合わせ、岸田文雄首相と習近平国家主席の首脳会談を行う方向で調整に入った」と報じた。
記事では、「10月の中国共産党大会で3期目の新指導部を発足させた習氏に祝意を伝えるとともに、中国による台湾への武力侵攻の可能性が指摘されていることを踏まえ、対話による平和的な解決を呼び掛ける」とあった。
岸田首相は7日、政府与党連絡会議で、11日から1週間余、ASEAN(東南アジア諸国連合)、G20(主要20カ国・地域)、APEC(アジア太平洋経済協力)の各国際会議のため、カンボジア、インドネシア、タイを歴訪し、主要国と2国間会談も行って、日本の立場と取り組みを主張する予定だと表明した。
この機会に対面で会談を行う意味は大きい。両首脳が握手をして儀礼的なあいさつを交わすことにとどまらず、対話により台湾海峡の平和と安定を確保することと、日中間のリスクを低減して信頼を醸成する措置を進めることなど、有事を招かない決意が語られる会談を望みたい。
(公明党代表)
【2022年11月9日(8日発行)付 夕刊フジ】