地雷除去支援
2012.06.01
手足のない子どもたち
1991年(平成3年)7月、カンボジアを訪問した際に、手足のない子どもたちと出会いました。話を聞いてみると、鬼ごっこをして遊んでいた時、父親の仕事をしていた時、そして、不発弾を拾った時、地雷が爆発して手や足を失ったというのです。
何の罪もない子どもたちが犠牲になっていることに憤りを感じました。そこから、お金をばらまくだけの支援ではなく、地雷除去のための具体的な、実質的な支援ができないかを模索し始めたのです。
立ちはだかる2つの壁
当時、地雷を撤去するには手作業で進めなければならず、多くの人命が損傷するなど、常に危険と隣り合わせの状況が続いていました。一方、日本では機械やロボットを用いて地雷を撤去する、すぐれた技術が成果を出しつつありました。この技術を、現地で使うことができれば、地雷撤去の大きな前進となるにちがいない――そう確信しました。
しかし、そこには2つの大きな壁が立ちはだかりました。1つは、技術はあっても実証試験の場がないということ、そして、もう1つは、「武器輸出三原則」の壁によって、対人地雷探知・除去機が武器と指定されているため海外に持ち出せない現状がありました。
日本の技術で犠牲者ゼロへ
そこで、参議院の外交防衛委員会で訴えました。実証試験については、防衛庁の演習場を使わせてもらうことができるよう、防衛庁長官から積極的な答弁を引き出しました。そして、「武器輸出三原則」についても、外務大臣への質問によって、対人地雷探知・除去機については武器から除外してもらい、海外への持ち出しを可能にすることができたのです。
日本が誇る地雷除去技術のおかげで、カンボジアでは、1999年に約1000人を超える地雷の被災者が、2008年には約4分の1にまで減りました。地雷による犠牲者がゼロになるその日まで、あらゆる可能性を模索し、世界中の子どもたちが安心して暮らせるよう、全力を尽くしていきます。