アフガニスタンに見る日本の国際貢献
アフガニスタンは、その地理的性格から国際的に要衝の地でした。古くは、シルクロードの交易で栄えたが、民族紛争やテロリズムの台頭など半世紀に渡って混乱が続いています。
現在は、まさに国際的なテロとの闘いの最前線であり、同国に平和と安定を実現することは、テロと闘う国際社会全体の平和と安全に関わる問題であり、日本自身の安全保障にも直接影響する重要課題です。
同国のような紛争終結後の国の平和と安定及び国造りに積極的に貢献していくことは、ODA大綱の基本方針である「人間の安全保障」ならびに重要課題のひとつである「平和の構築」の実現という観点からも非常に大きな意義を持ちます。
日本は、紛争終結後の2001年からアフガニスタンに平和と秩序を回復するために、国際社会の一員としてODAによる支援を積極的に行ってきました。その内容は、 公共インフラの整備から地雷除去、元軍人の職業訓練に至るまで多岐にわたり、まさに人道復興支援が行われています。同国の平和と秩序の回復を願い、復興支援は今も続いています。
ODAによる国際貢献~二国間贈与 無償資金協力~
日本の国際貢献は、主にODA(政府開発援助)による資金提供を通して行われています。ODAのうち2国間で行われ、提供した資金の返済を求めない協力には(1)無償資金協力と(2)技術協力の2つの形式があります。 そのうち医療や給水、農村開発、運輸交通などの基礎的な分野のインフラ整備を行うハード面の支援を行うものが「無償資金協力」です。例えば、病院、学校、道路等の「施設建設」や、医療機材や教育訓練機材等の調達を行う「資機材の調達」などに利用されており、発展途上国の支援や戦乱によって興廃した国土の復興などに、大きく貢献しています。
ODAによる国際貢献~国際機関への出資~
一方、「国際機関への出資」という方法でも国際貢献は行われています。アフガニスタンでは、アフガニスタン国防省の責任管轄の下、UNAMA(国連アフガニスタン支援ミッション)と日本政府の支援を受けながらANBP(アフガニスタン新生計画に対する支援計画) によって進められています。
ANBPはG8加盟国で「治安セクター」を分担して行う取り決めがされており、その中のDDRという事業を日本が主導して行っています。DDRとは、Disarmament(武装解除)、Demobilization(動員解除)、Reintegration(元兵士の社会復帰、もしくは社会再統合)の略称で、紛争、もしくは戦争後の社会において紛争の再発を予防し、平和を定着させる平和構築を目的とした活動です。
日本の対アフガニスタンODAの実績
※リンクがされている支援の内容は、山口なつおが視察した際の「写真記録」として紹介させていただいているものです。
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2001年度 |
2002年度 |
2003年度 |
ODA実績 |
25.46億円 (0.40億円) |
337.9億円(20.17億円) |
263.14億円 (26.45億円) |
民生支援 |
- 緊急無償(難民支援)
- 緊急無償(車両提供)
- 草の根無償(3件) 等
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- カブール・テレビ放送局機材整備計画
- カブール市公共輸送力復旧計画(無償資金協力として大型バスやミニバス・スペアパーツを供与した)
- 警察器材整備計画
- ノン・プロジェクト無償
- 対アフガニスタン地雷除去機開発研究計画
- 緊急無償(地震災害)
- 緊急無償(緊急ロヤ・ジェルガ)
- 緊急無償(REAP) 緊急無償(ARTF)
- 緊急無償(母子保健)
- 緊急無償(緒方イニシアティブ・フェーズ1)
- 緊急無償(道路建設)
- 緊急無償(緒方イニシアティブ・フェーズ2)
- 緊急無償(緒方イニシアティブ・フェーズ3)
- 緊急無償(憲法制定ロヤ・ジェルガ)
- 食糧援助(WFP経由)
- 草の根無償(36件)
- カブール緊急復興支援調査(JICA) 等
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- カブール・テレビ放送施設整備計画
- カブール国際空港器材整備計画
- カブール市大学器材整備計画
- 道路セクタープログラム(カンダハル・カブール間幹線道路整備計画)
- 道路セクタープログラム(カンダハル・ヘラート幹線道路整備計画)
- 道路セクタープログラム(カンダハル及びカンダハル近郊道路整備・建設計画)
- 地雷除去活動支援器材開発計画(治安の改善に資する支援)
- 緊急無償(アフガン帰還民に対する緊急支援及び仮設住宅建設計画)
- 緊急無償(アフガニスタンのカンダハル・ヘラート幹線道路地雷除去支援計画(治安の改善に資する支援)
- 草の根・人間の安全保障無償(144件)
- ノンフォーマル教育強化支援プロジェクト(JICA) カンダハル近郊農業復旧緊急支援調査(JICA)
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国連機関を
通じた支援 |
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- 小児感染症予防計画(UNICEF経由)
- 平和のためのパートナーシップ計画(UNDP経由)(治安の改善に資する支援)
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- 小児感染症予防計画(UNICEF経由)
- アフガニスタン新生計画に対する支援(平和構築:UNDP経由)(治安の改善に資する計画)
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2004年度 |
2005年度 |
2006年度 |
ODA実績 |
25.46億円 (0.40億円) |
337.9億円(20.17億円) |
263.14億円 (26.45億円) |
民生支援 |
- 学校建設計画(1/2)
- カブール国際空港ターミナル建設(詳細設計)
- セクタープログラム無償資金協力
- 緊急無償(マザリ・シャリフ警察支援計画)(治安の改善に資する計画)
- 日本NGO連携無償(5件)
- 草の根・人間の安全保障無償(228件)
- 結核対策プロジェクト(JICA)(技術協力プロジェクトとして、専門家派遣等により国家結核対策プログラムへの支援及び国立結核研究所等の機能強化等を行った)
- マザリシャリフ緊急復興支援調査(JICA)
- 女性の経済的エンパワーメント支援プロジェクト(JICA)
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- カブール国際空港ターミナル建設計画(国債1/3)
- 学校建設計画(2/2)
- セクター・プログラム無償資金協力(2件)
- 緊急無償(アフガニスタン下院選挙及び地方議会選挙実施のための支援)
- 食糧援助(WPF経由)
- カブール国立博物館に対する展示器材供与
- 日本NGO連携無償(5件)
- 草の根・人間の安全保障無償(106件)
- 地方開発プロジェクト(JICA)
- 教師教育強化プロジェクト(JICA)
- 識字教育強化プロジェクト(JICA)
- 障害児教育強化プロジェクト(JICA)
- 医学教育プロジェクト(JICA)
- 保健科学院カンダハル助産師教育計画プロジェクト(JICA)
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- セクター・プログラム無償資金協力
- カンダハール・ヘラート道路(第2期)
- カブール国際空港ターミアンル建設計画(国債2/3)
- セクター・プログラム無償資金協力(カブール道路技術センター)
- 食糧援助(WFP経由)
- 日本NGO連携無償(8件)
- 草の根・人間の安全保障(36件)
- 特殊教育プロジェクト(JICA) 等
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国連機関を
通じた支援 |
- アフガニスタン新生計画(平和構築:UNDP経由)(治安の改善に資する計画)
- 緊急無償(アフガニスタン選挙実施計画(UNDP経由))(治安の改善に資する支援)
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- 児童の生命救済のための予防接種拡大計画(UNICEF経由)
- 平和構築:持続的平和のための地域開発計画(UNDP経由)
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- 小児感染症予防計画(UNICEF経由)
- 平和構築:非合法武装集団解体(DIAG)のための包括的イニシアティブ推進計画(UNDP経由)(治安の改善に資する支援)
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