75歳以上の医療費2割負担「年収200万円以上」で一致
2020.12.16
政府・与党は10日、75歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う窓口負担をめぐり、負担割合を1割から2割に引き上げる対象を「単身世帯で年収200万円以上」と決めた。
さらに、実施の時期は2022年10月1日から23年3月1日の間とし、施行後3年間は、負担増加額を最大で月額3000円に抑制することとし、これらを15日に閣議決定した。
ここに至るまで、協議は難航した。
政府は、少子高齢化が進むなか、「団塊の世代」が後期高齢者になりはじめる22年度から医療費が増大する分を、後期高齢者の窓口負担を2割に引き上げて若い世代と公平に分かち合うことは、必要不可欠な措置であると訴える。
確かに、私も含めて、現役世代の負担する支援金は、金額もばかにならず、これから増えていくとなるとなかなか大変だ。そこを重視して、菅義偉首相は「単身世帯で年収170万円以上は2割で譲らず」との構えを打ち出した。
しかし、窓口負担率が倍増する後期高齢者は、年金収入しかなく、衰えとともに自分の医療費が増えていく不安にかられる。しかも、コロナ感染で基礎疾患のある人の死亡率が高いといわれ、医療機関に行くことさえ控えたくなる。そのせいかは分からないが、国民医療費は例年より、やや低くなっている。
公明党は、こうした実情を踏まえて、慎重な議論を促した。「年収240万円以上なら」と歩み寄る姿勢も見せた。政府側は頑として譲らず、予定した日程も延期した。
そこで、9日夜、もともと入っていた菅首相との懇談の機会に、ケリを付けようとの思いで臨んだ。菅首相は開口一番、「ご心配おかけしました。選択肢の3でお願いします」と切り出した。「年収200万円以上ですね」と確認すると、「そうです」と。私は「それで結構です」と応じ、双方歩み寄っての決着となった。「その他のことは政調会長に任せましょう」とのことでも一致した。
世代間の負担のバランスが大事。厳しい現実をぶつけ合いながら合意形成の過程を国民に知ってもらうことは大切だ。運び方には反省もある。
新型コロナの感染者増が止まらない。11日の分科会の議論を受け、政府は、関係自治体の知事との意見交換を踏まえて14日夜、対策本部で、観光支援事業「GoToトラベル」を今月28日から来年1月11日まで、全国で一時停止すると表明。飲食店などの「営業時間短縮も延長する」意向も示した。
キャンセルの補償をすることはもちろんである。また、自治体の独自の取り組みもあり、連携をして周知を図り、混乱のないようにすることが大切だ。
世論調査では、年末年始は旅行や帰省には行かないと決めている人が8割を超えており、休業・休日を生かして感染防止対策を徹底し拡大を阻止する機会にしたい。
(公明党代表)
【2020年12月16日(15日発行)付 夕刊フジ掲載】