感染症防止策の継続が大切
2021.03.03
先月28日をもって、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が首都圏の1都3県を除く、愛知、岐阜、京都、大阪、兵庫、福岡の6府県で解除された。政府は、自治体の解除要請を踏まえ、国で設けた6つの指標をクリアしていることなど専門家の評価をへて判断した。
関西の2府4県で新型コロナに感染した人は同28日、約4カ月ぶりに100人を下回った。ただ、花見などで人出が増えるシーズンを迎えることから、住民には「ぶり返し」を心配する声も多い。飲食業の営業時間短縮を段階的に緩和しながら、引き続き感染防止策を継続することが大切である。
一方、首都圏の1都3県は3月7日の解除を目指すが、6指標は着実に改善しているものの、新規感染者は下げ止まりの傾向がみられる。一部では微増の動きすらあるところから、予断を許さない状況である。
世論調査では、政府の取り組みを評価する声も増えたが、さらなる緊急事態の延長を求める声もあることから、徹底した感染防止策の実践が必要である。
こうした状況を踏まえ、「ぶり返し」を防ぐためにも、ワクチン接種の役割が重要である。医療従事者への接種が始まった。私も、先行接種の医療現場を視察したが、「案ずるより産むが易し」のとおり、流れは滑らかであり、副反応もわずかである。高齢者への優先接種は4月以降となる見通しである。
日本は欧米に比べて、感染者数や死者数が格段に少ないとはいえ、接種の開始がG7(主要7カ国)で最も遅い現状には不満を感じる国民も多い。科学先進国でありながら、国産ワクチンを早期に開発し、接種に結びつけることができないことにも、平成以降に日本が低迷した原因があるように思う。
公明党は昨年7月、補正予算による国内開発に頼るだけでなく、開発が先行する欧米企業のワクチン確保に向けて予備費活用を政府に訴えた。政府は同9月、予備費を支出して米国の製薬大手、ファイザー社などと合意を結んでいった。
合わせて、国内への安定供給力を確保する観点から、英国の製薬大手、アストラゼネカ社とは国内生産ができる道を開いていった。
いずれにしても、ワクチンへの期待は高まってきており、遅れた供給の今後の見通しについて、具体的な量と時期を早く明確に市区町村に示すことが円滑な接種の鍵となる。
こうしたコロナ感染克服への取り組みが効果をあげるには国民の信頼と協力が不可欠である。
その信頼を損なうような総務省と農水省の幹部官僚の接待問題が連日メディアで報じられている。「李下に冠を正さず」というように、疑わしい行いを避けるために倫理規定が設けられている。
総務官僚時代に接待を受けていた山田真貴子内閣広報官も、入院を機に閣議で「辞職」を決定した。広報官には内閣に関して積極的な役割が期待される。
緩んだ綱紀を引き締め、信頼を取り戻す必要がある。
(公明党代表)
【2021年3月3日(2日発行)付 夕刊フジ掲載】