ワクチン接種の加速化に期待
2021.06.09
私は先週２日、菅義偉首相と会談し、新型コロナウイルスのワクチン接種の加速化や、東京五輪・パラリンピックに関する国民への説明、先進７カ国（Ｇ７）首脳会議への期待などについて、意見交換した。
私自身、かかりつけ医よりも早く予約がとれた「自衛隊東京大規模接種センター」で５日、第１回目の接種を受けた。第２回目の予約は７月上旬である。副反応もなく、ひと安心だ。
５月２４日から接種が始まった国の大規模接種は、自治体の負担を減らした分だけ前倒し効果も出てきた。自治体でも集団接種や大規模接種を増やしており、国と自治体の取り組みの相乗効果が現れ、自衛隊や医師会の協力でワクチン接種が加速化している。
首相官邸のホームページを見ても、５月下旬から高齢者接種が急激に伸びている。公表データは、予診票に接種済みシールを貼った資料を入力して集計している。各地で接種日から入力までのタイムラグがある分だけ、公表数より実数が上回るという。
７月下旬までに、おおむね高齢者の２回目接種にメドがついた自治体が増えるにつれ、６４歳以下の接種券を発行し今月中にも接種を始める自治体が出てきた。
加えて、今月２１日から「職域接種」が始まる。接触型サービスのある交通、ＩＴ関係の大企業や、五輪を控えた警察官や消防官を対象にする東京都などから準備が進む。
これまで「遅い」と言われてきたが、さらに加速度を増すよう丁寧に進めていきたい。
東京五輪の開会式まで２カ月を切り、オーストラリア女子ソフトボールチームなど事前合宿のために来日する選手団も出てきた。
一方で、朝日新聞が社説で「東京五輪中止」を菅首相に迫るなど、反対派の動きもある。読売新聞の世論調査（４～６日実施）では、「中止」が５月のゴールデンウイーク明け時点の５９％から１１ポイント下がり、「開催」が逆転した。
感染拡大につながる不安をいだく人々は多い。政府、組織委員会、東京都は、「安心安全」の具体的な実施方法を分かりやすく国民に伝える努力を惜しんではならない。
９日には２年ぶりに「党首討論」が開催される。私は初めて臨む菅首相に「五輪開催の意義や安心安全の根拠を国民に伝える絶好のチャンスです」と激励のエールを送った。
１１日から英国でＧ７首脳会議がスタートする。主要テーマの１つは新型コロナ対策である。パンデミック（世界的大流行）に至った教訓を共有するとともに、ワクチンの全世界への接種拡大のあり方も話題になる。
菅首相は２日、日本が主催した「ワクチンサミット」で、途上国にワクチンを分配する国際的枠組み「ＣＯＶＡＸ（コバックス）」への８億ドル追加拠出を表明し、先手を打った。
「気候変動」は、英国で秋に「ＣＯＰ２６（国連気候変動枠組み条約第２６回締約国会議）」が開催予定であることから欠かせないテーマとなる。
「中国」についても、Ｇ７が共有する「民主主義」「自由経済」など伝統的な価値観からの位置づけが議論されるだろう。「自由で開かれたインド太平洋」に、Ｇ７の関心を引きつける好機としたい。
（公明党代表）
【２０２１年６月９日（８日発行） 夕刊フジ掲載】
