東京五輪のメダルラッシュに感動
2021.08.04
東京五輪の開会式から3日で12日目、日本選手による空前のメダルラッシュが続いている。金メダルの獲得数は、すでに過去最多となっており、序盤の柔道、水泳、ソフトボール、体操などでの快進撃は多くの国民を沸き立たせている。
あれだけ「五輪中止」を叫んでいた野党政治家やメディアも、手のひらを返したように、歓喜している。
新型コロナウイルス感染を心配する国民の不安に乗じて、政権を批判する一方、選手の活躍を喜ぶ世論に迎合して態度を豹変(ひょうへん)させたり、五輪中止にこだわって「ノーコメント」を繰り返す政治家の姿に、改めて「正視眼」の大切さを思い知らされる。
日本選手のメダルを手にするまでの道のりには、それぞれのドラマがある。悔しさをバネに苦労の末にやっとつかんだ執念の人。劣勢をはね返して逆転勝利をもぎ取った忍耐の人。畏れを知らぬ若々しい勇気の挑戦でチャンスをものにした人…。みんな素晴らしい。
私が感動した金メダルを強いて挙げれば、競泳女子個人メドレーの400メートルと200メートルで、2冠を達成した大橋悠依選手である。
最初の表彰台の後、「いろいろなことがあったが、チャレンジさせてもらえて支えてくださった方々に感謝している」というコメントが今回の五輪開催を象徴しているように感じた。2冠達成後、「勝っても負けても何も後悔がないと言えるように」と力を出し切ったすがすがしさが印象深かった。
この五輪を通して、若い世代は、スポーツに限らず自らの可能性に希望や夢を抱き、あきらめない辛抱強さを学び、ペアと息を合わせ、チームワークを高めることの大切さを目の当たりにしたに違いない。
新型コロナの変異株(デルタ株)の影響か、新規感染者が7月29日、初めて1万人を超えた。政府は、2日から31日まで東京都と沖縄県に加え、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県に「緊急事態宣言」を発令した。
東京都では12日から緊急事態宣言下にあるが、若い人を中心に人流が大きく減ることがないなか、感染者が急増している。新規感染者は、20~30歳代が7割を占め、新たな宣言の効果には疑問が出ている。一方、60歳代以上は5%以下に止まっており、高齢者へのワクチン優先接種が相当進んで、この年代の死者数などは大きく減っている。
若い世代は重症化を免れても後遺症に悩まされたり、周囲の人々に感染させたりするリスクがある。不要不急の外出自粛やマスク、消毒などの対策の重要性を改めて共有しなければならない。
40~64歳代は重症化リスクがあるので、40歳以上の条件付きで使用可能となった英アストラゼネカ製を含めて、ワクチン接種を急ぎたい。
若い世代がデマに惑わされず、ワクチン接種をどんどん受けられる機会を広げる工夫も必要である。
(公明党代表)
【2021年8月4日(3日発行)付 夕刊フジ掲載】