野党共闘 有権者は強い違和感
2021.11.10
本コラムは、衆院選公示(10月19日)を受け、目まぐるしい選挙戦の間、休載していた。投開票(同月31日)以降、最初の掲載となるので、まずは選挙結果を振り返ってみたい。
当初、一部メディアで「野党躍進」「自公、過半数ギリギリ」などと報じられたが、ふたを開けてみれば、「自民党、絶対安定多数」「公明党、3議席増」という結果で与党が勝利した。心から感謝したい。
自公は、大部分の選挙区で相互に推薦を出し合って、効果的な選挙協力を進めた。また、政権合意を結び、枠組みを示して政策目標を掲げ、閣僚を出し合って政権運営への責任を明示した。そのうえで、野党との違いを鮮明に訴えた。
野党は、これまでにない選挙協力を掲げて候補を一本化した。特に、立憲民主党と共産党は、多くの選挙区で、共産党が候補者を出さずに立憲民主党の候補者を支援し、「政権交代」を声高に叫んだ。共産党の候補者に絞ったところもあった。
しかし、選挙で協力して政権交代を叫んでも、安全保障など基本政策で水と油の組み合わせは、政策の実現可能性が不透明で政権運営も不安定に見える。しかも、共産党は「閣外協力」を初めから表明し、政権交代を訴えるにしては、政権運営の責任を負わず、腰が引けていた。
実際、共産党の候補者に絞った選挙区で「政権交代を。でも閣外協力です」というのでは、「政権を担わない人を選んでもどうか」と思われてしまった。
一方、立憲民主党と共産党の候補が並び立っている選挙区もあった。表看板は「選挙協力」でも、内実は「バラバラでは」とも思えた。
立憲民主党と共産党は、事前の予測に反して議席を減らした。比例区での後退が顕著である。
北朝鮮が公示日に、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射するなど、安全保障環境が厳しい現実のなか、立憲民主党が「日米安保廃棄」「自衛隊解消」を掲げる共産党と共闘するとのメッセージを出したことに、有権者は強い違和感を覚えたのではないか。
こうした要因が重なり、自民党は選挙区で議席を減らしたものの、競り勝ったところが多く、公明党も小選挙区で全員当選、比例区でも711万票台を回復した。
政府与党は、今月19日をメドに、経済対策をまとめ、補正予算の編成にあたる。公明党は、18歳以下の子どもに1人当たり10万円相当の給付を行う「未来応援給付」や、マイナンバーカードの取得者に1人当たり3万円のポイントを付ける「新しいマイナポイント」などを選挙で訴えた。
岸田首相は、党首会談などで、公明党の「未来応援給付」は自民党の主張と「重なるところもあり、加えるところもあるので、協議して現金給付を行いたい」と述べていた。
8日から、自公の幹事長間で調整が始まった。
(公明党代表)
【2021年11月10日(9日発行)付 夕刊フジ掲載】