文通費改革 対中非難 対応まとまらず
2021.12.22
臨時国会も21日で閉会となる。岸田文雄首相にとって初めての予算委員会の論戦となったが、丁寧な答弁に努め、目標であった2021年度補正予算を成立させることができた。先に決めた経済対策を実行に移すため、速やかな予算執行が求められる。
とはいえ、すべて順調とはいかず、議論が出掛かりながら結論に至らず、不完全燃焼の国会との声もある。
高校3年生までの子どもに10万円を給付する案は、政府は当初、「原則5万円のクーポン」にこだわったが、自治体や国民の強い要望を受けて「現金一括でも可」と修正された。押し戻されて公明党の当初の主張に近い結果になった。
国会議員の「文書交通通信滞在費」(文通費)の改革は進まなかった。1日で1月分の100万円支給は国民から見て違和感があるというのが議論の出発点だった。「日割り支給」にすべきとの点で各党異論がないにもかかわらず、「使途の公開」をめぐって合意に至らず、結局、「日割り法」さえできなかった。
国民の関心は「使途の公開」に移っている。日割りを合意の土台とし、使途公開のあり方については、各党とも言いっ放しではなく、両院の議院運営委員会に協議の場を設けて早急に合意形成に努めるべきである。
国会での「対中非難決議」や、政府の北京冬季五輪の「外交的ボイコット」もまとまっていない。いずれも、補正予算成立最優先の短い会期でタイトなスケジュールとなり、十分な根回しや政府の外交的判断の見極めが難しかったのであろう。
2021年を振り返ってみると、コロナ対応に明け暮れる日々だった。感染の波が、アルファ株、デルタ株と変異を重ねながら次々と襲ってきた。
その間、菅義偉前政権時代は、東京五輪・パラリンピックを無事成功に導き、世界から「日本だからできた」と称賛された。並行して、ワクチン接種については、高齢者を優先しながら世界に例を見ないスピードで実施し、感染拡大を防ぎ、感染者の数を大きく減らした。
岸田政権誕生後も、コロナ克服へ最優先で戦いが続く。オミクロン株の感染拡大への国民の不安があるなか、3回目のワクチン接種を混乱なく実施していくことが重要である。飲み薬が承認され、全国の医療機関で身近に使えるようになることも望まれる。
米中対立が過熱するなか、北京冬季五輪を迎える22年。まずは、五輪精神にのっとり、日本選手団が活躍することを期待したい。
いわゆる「外交的ボイコット」について、最近の各種世論調査では、賛否が二分するなか、岸田首相の判断が注目される。
岸田政権にとって、臨時国会の試練を経て、いよいよ、明年の通常国会は、長丁場の本格論戦だ。夏の参院選を控えて、激しい攻防が予想される。丁寧で寛容な対応を旨とし、確実に乗り切ることが、その後の展望を拓いていく。
(公明党代表)
【2021年12月22日(21日発行)付 夕刊フジ掲載】