「油断禁物」と肝に銘じる
2022.03.23
福島県沖を震源とする大きな地震が16日夜にあり、宮城、福島で最大震度6強の揺れを観測した。亡くなられた3人のご冥福をお祈りするとともに、負傷者をはじめ被災したすべての方々にお見舞いを申し上げます。
人的被害は少なかったものの、東北新幹線が脱線して高架橋や電柱も損傷した。東北自動車道や常磐自動車道でもひび割れや段差で一部通行止めとなるなど、幹線交通インフラに大きなダメージがあった。
東日本大震災から11年が過ぎ、新たな復興への取り組みを誓った直後の大地震であり、「災害はいつ来るか分からない」ことを思い知らされた。福島県沖を震源とする地震は、東日本大震災後もたびたび起きており、昨年2月にも最大震度6強を観測している。改めて「油断禁物」と肝に銘じなければならない。
これまでの教訓を生かした懸命な復旧作業により、停電や断水はほぼ解消し、高速道路も通行可能となった。東北新幹線は、4月20日ごろ全線運行再開の見込みである。
見えにくいが、家屋や家具・食器などの損傷も著しい。ボランティアは高齢被災者の頼りになり、罹災(りさい)証明書の発行による保険給付や公的支援などを迅速に行うことが、度重なる被災で折れそうになる住民の心を励ますことになる。
ロシアによるウクライナ侵略から約1カ月がたつが、明白な国際法違反であるロシアの暴挙は止まらない。病院や学校、原発への攻撃、さらに民間人の避難所となっている施設をも容赦なく破壊し、目に余る非人道的攻撃が続いている。
ジョー・バイデン米大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を「戦争犯罪人」と言い切り、国際刑事裁判所(ICC)の検察組織もウクライナに入って証拠収集を始めた。
自由主義国の経済制裁は効き始めているが、独裁者であるプーチン氏の暴走を制御するには至っていない。
自ら国際法違反の侵略を犯して責任を果たさないロシアを、国連安保理の常任理事国にし続けていいのかとの議論も持ち上がっている。
岸田文雄首相は19日から21日までインドとカンボジアを訪問し、インドのナレンドラ・モディ首相との会談で、ウクライナ情勢を受け、日本とインドが、ドイツやブラジルなどとともに安保理改革に向けた連携を強化することで一致した。
また、ロシアの暴挙がアジアを含む国際秩序の根幹を揺がすことから、世界中どの場所においても「力による一方的な現状変更」を認めないという立場を、モディ首相と、カンボジアのフン・セン首相との間で共有できたとしている。
日本の安全保障についても現実的な議論が迫られている。
(公明党代表)
【2022年3月23日(22日発行)付 夕刊フジ掲載】