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活動レポート

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ブログ「本音でズバッと」

台湾有事に対する「構え」と「回避」の道を探る必要性

2022.08.17

岸田文雄首相は10日、自民党役員人事と内閣改造を実施した。当日の組閣本部設置に先立つ与党党首会談で、岸田首相は「新型コロナ、ウクライナ危機、台湾をめぐる米中の緊張、国際的な物価高など直面する難局を突破するためには、間を置かず改造を行い、有事に対応する政策断行内閣を発足させたい」と語った。

党人事は、副総裁と幹事長を留任させて骨格を維持した。新たに、政調会長に安倍派の有望株とされる萩生田光一氏を起用し、総務会長に岸田首相の信任が厚い遠藤利明氏、選対委員長に国対委員長を長く務めた森山裕氏を充て、党の内外をにらんだバランスを重視した。

第2次改造内閣の陣立ては、官房長官、財務相、外相などの骨格は留任とし、厚労相、防衛相など懸案を抱えた要所は閣僚経験者で手堅く固めた。総裁選を争ったライバルを閣内に取り込んで、挙党態勢を演出し、19人の閣僚のうち半数近い9人の新閣僚を起用して刷新感を出そうとしている。

このところ下がり気味だった内閣支持率を浮揚させるための内閣改造だったが、直後の世論調査では、共同通信は微増だったものの、読売新聞と日経新聞は下落した。

格別な目玉がなくても、ご祝儀相場で上がるものだが、「見込んだほどではない」との声が政府内からも出た。

新型コロナ対策や物価高が、内閣改造で直ちに改善できるわけでもなく、「派閥に配慮しすぎで、何がやりたいか分からない」との反応もある。改造を急いだ背景は、自民党議員と旧統一教会の問題もありそうだが、新閣僚との関係が続々と浮上しており、かえって説明を求める世論が高まってしまった。

岸田内閣は、旧統一教会と関係がない人だけで改造することは困難と見通したうえで、説明を誠実にさせて今後の関係は改めることで乗り切ろうと割り切った感がある。

ダメージは織り込み済みで最小限にとどめ、国民生活に広く影響する新型コロナ対策や物価高で先手を打って仕事の結果を出し、支持率の回復を図ることが正攻法と踏んだのではないか。

ならば、先の見通しを早く示し、対応する具体策を着実に進めていくことで政府与党が力を合わせていくほかない。

同じ機会の世論調査でもう1つ注目されるのは、中国軍が4日から行った大規模軍事演習で、日本の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイルを5発も撃ち込んできたことに、約8割もの国民が懸念を示していることである。

台湾をめぐって米中が対抗していることに端を発しているとはいうものの、共同通信は11日、「習近平国家主席が決断し指示した」「台湾有事の際に介入しないよう強く牽制(けんせい)した」という記事を配信し、日本への意図を描き出した。

米中がメンツの張り合いで緊張を高めないよう、ASEAN地域フォーラム(ARF)は11日、「大国間の対立を避け予測できない結果を防ぐためにも最大限の自制と挑発的な行動の自粛が重要だ」との議長声明を発した。

危機に対する「備え」と、「回避」する対話の道を探る必要がある。

(公明党代表)

【2022年8月17日(16日発行)付 夕刊フジ掲載】