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ブログ「本音でズバッと」

岸田政権「少子化対策」これだけでは胸を張れない

2023.02.08

岸田文雄首相は、「こども・子育て政策」を最重要政策として位置付け、社会全体の意識を変えて「次元の異なる少子化対策」を実現したいと意気込んでいる。

これまでの国会論戦を通じて、与野党の足並みがそろいつつあるのが、「児童手当の所得制限撤廃」である。所得制限にこだわってきた自民党の茂木敏充幹事長が撤廃に理解を示したことから、岸田政権もその方向で調整に入ったとの報道もあった。

6日の政府与党連絡会議で、岸田首相は「こども・子育て政策として充実する内容を具体化し、与党の協力を得ながら、6月の骨太方針までに予算倍増にむけた大枠をまとめる」と語った。実現は視野に入っているものと思われる。

コロナ禍のもと、出生数は予想を上回る減少傾向にあり、2022年は80万人を割り込み、すでに「静かな国家存亡の危機」ともいえそうだ。年金・医療・介護などの社会システムや、活力ある地域社会の持続性を確保するためには、次世代育成がカギとなる。

子育てを望みながら、ためらう最大の理由は「子育てにお金がかかる」ことにある。児童手当の拡充や、教育費の負担軽減が柱だ。

公明党は昨年11月、「子育て応援トータルプラン」を発表した。その中で児童手当は、①18歳まで対象拡大②所得制限撤廃③第2子以降の支給額増などを掲げている。

所得制限撤廃は、親の所得で子どもを分断せず、社会全体で子どもを育てる「次元の異なる少子化対策」の一環といえるが、拡充策全体からみれば、対象者は少なく財源も小さいため、難易度は低い。これだけで「次元の異なる少子化対策を進めました」と胸を張れないので、拡充策をセットで実現することが望ましい。

経済支援の充実に加え、多様な保育サービスの提供、働き方改革で男性の家事・育児参加の促進などを進め、社会全体の流れを変えていくことが大切である。

先日、日韓関係の懸案となっている、いわゆる「元徴用工」問題について、韓国政府は、韓国の原告側が求める日本企業による賠償を韓国の財団が支払う解決案を検討していると報じられた。

これに呼応するように、貿易上の優遇措置を受けられる「グループA(ホワイト国から改称)への韓国復帰」や、「おわび談話の再表明」といった日本側の報道もある。

一方で、日韓の請求権問題は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」されているので、筋違いの見返りを与えることは今後の日韓関係に禍根を残すとの意見もある。

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、日韓請求権協定と韓国の最高裁判決を尊重する前提で、財団が支払う案を考え出した。韓国前政権の取り組みと日本政府の対応を振り返ったうえで、日韓間の懸案を解決し、関係改善のための最善の努力を日本政府はすべきである。

(公明党代表)

【2023年2月8日(7日発行)付 夕刊フジ掲載】