習主席の最側近 蔡奇氏と濃密会談
2023.12.06
先月22、23日に訪中した。日中平和友好条約締結45周年の節目に当たり、かねての希望が実現した。17日に日中首脳会談が行われたばかりであり、政党間交流が続いたことは、対話が始まる象徴的な一歩となった。
公明党の創立者である池田大作氏の逝去から間もないこともあり、会談した要人からは、丁重なる弔意が述べられた。池田氏の1968年の「日中国交正常化提言」や74年の周恩来首相との会見を経て「日中平和友好条約」の締結につながったことなどの功績がたたえられた。
初日に蔡奇・党中央政治局常務委員や劉建超・党中央対外連絡部長と、翌日、王毅・党中央政治局委員兼中央外事弁公室主任と会談した。習近平国家主席がウルグアイ大統領やロシア下院議長らとの国家行事に忙殺されるなか、最側近といわれる蔡氏との会談が配慮されたと感じている。
蔡氏との会談では、日中平和友好条約に定める「すべての紛争を平和的手段により解決」「覇権を求めない」などの基本原則を再確認するとともに、先の日中首脳会談で一致した「戦略的互恵関係」を包括的に推進する立場から、自公の「与党交流協議会」を再開させたいとの提案があり、これを歓迎した。王氏からも超党派の「日中友好議員連盟」など幅広い交流への期待が示された。
帰国後、岸田文雄首相に報告し、自公両党幹事長で「与党交流協議会」を調整することになった。二階俊博・日中友好議員連盟会長にも超党派交流の要望を伝えた。
公明党からは、基本原則の確認を前提として、具体的な関係が国民に分かるように推進することが重要だと指摘し、協力すべき課題や解決すべき懸案を取り上げ、対話を重ねて乗り越え、首脳の往来ができるようにすることが「建設的で安定的な日中関係」につながると訴えた。
グリーン経済、少子高齢化対策、海洋プラごみ対策などで第三国支援も含めて協力できることは多いと述べるとともに、ALPS処理水については、科学的根拠と客観的なデータに基づいて判断し輸入規制を撤廃すべきであると主張した。
邦人拘束問題では、何が「反スパイ法」に反するのか明らかにならず日本企業の投資意欲を萎縮させるばかりで、「違法な行為」を予防する効果がない。交流を促進するためには、邦人の早期解放と、今後の予見可能性を示す対応が必要だと伝えた。
蔡氏は中国側の立場を述べつつも、会談の終わりに「今日は建設的で踏み込んだやりとりができた」と感想を語った。会談は、これまでの逐次通訳と異なり全て同時通訳で行われ、予定時間を超え濃密な対話ができた。
このところ連日、自民党のパーティー券問題が報道されている。東京地検特捜部の捜査中とされ、言及は控えるが、岸田首相が述べるように、各派閥や議員が説明に努め、法に基づいた適切な対応をとることが大切だ。
(公明党代表)
【2023年12月6日(5日発行)付 夕刊フジ掲載】