東京地検が捜査中も黙っているだけでは国民の不信が深まるばかり
2023.12.20
自民党派閥のパーティー券問題が、連日報道を賑わせている。既に、東京地検が告発を受けて捜査中であり、国会閉会後、関係者の事情聴取など捜査が本格化しているといわれている。
下落傾向にあった内閣支持率は、パーティー券問題に関する報道が拍車を掛けている。このまま政治不信が拡大すれば、岸田文雄政権の維持すら困難になりかねない事態である。
もちろん、捜査中の案件であるから、今は任意の事情聴取であったとしても、捜査を攪乱(かくらん)したり、証拠を隠滅したりするような言動がうかつになされれば、強制捜査に至る可能性も排除できない。案件に対する言及も政治家には慎重さが求められる。
しかし、口をつぐみ、捜査を傍観しているだけでは、ますます、国民の不信感が深まるばかりである。
報道によれば、安倍派が派閥ぐるみで組織的にパーティー券収入のノルマを超えた分を派閥の議員たちに「キックバック」し、いずれの収入も支出も政治資金規正法に定められた「収支報告」をしないまま長い間継続していたのではないかと指摘されている。
岸田首相は13日、「第1弾として、渦中の安倍派の閣僚や副大臣が辞任をするので、これを受けて14日午後、内閣の補充人事を行う」という旨を私に電話で伝えてきた。同日昼、自公党首会談を行って、人事の内容を確認した。
実際、松野博一官房長官(当時)が国会終盤で不信任案を出されたように、どんなにそれまでの官房長官としての職務に瑕疵(かし)がなかったとしても、急浮上した「政治とカネ」問題の当事者として説明を求められる立場にたてば、信任を前提にして職務を継続していくことは政治的に難しくなる。
政府の仕事は、国民生活を守り経済社会の秩序と活力を維持するために一刻の停滞も許されない。来年度の税制や予算は今週中にも政府与党で決定しなければならない待ったなしの現状だ。岸田首相は私に「この度の人事は内閣改造ではなく、行政の遅滞を招かないようにする補充人事です」と説明した。
読売新聞の先週末の世論調査によれば、内閣支持率は横ばいとなった。他の調査が軒並み下落するなかで、読売の調査は、この人事に一定の評価をしていることが要因と考えられる。
今後、捜査が進展すれば新たな対応が求められるかもしれず、予断は許されない。これから大切なことは、捜査などを通じて全容を解明し、しかるべきけじめをつけた上で、再発防止策を確立し、信頼回復を図ることである。
公明党は14日、政治改革本部の会合を開催し、政治資金規正法の改正作業に着手した。
(公明党代表)
【2023年12月20日(19日発行)付 夕刊フジ掲載】