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ブログ「本音でズバッと」

世論の期待は「派閥解散」ではない

2024.01.24

自民党の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は19日、安倍派(清和政策研究会)など3派閥の会計責任者、議員、秘書を起訴する一方、派閥幹部の立件を見送った。

同日、東京地検次席検事が記者会見を行い、立件を見送った理由について「幹部が(収支報告書の)記載内容を把握していたとは認められない」として、起訴された会計責任者との「共謀を認めるのは困難」と語った。告発を受けての捜査だったが、立件見送りにより今後は検察審査会に舞台を移す可能性がある。

検察は捜査の意義や評価については説明を控えている。捜査中を理由に自民党の関係者は説明を控えてきたが、結論が出た以上、各派閥の責任者は事件の経緯について説明責任を果たすべきである。

岸田文雄首相は18日、自派の元会計責任者が略式起訴されるに至ったことから、「岸田派(宏池会)」の解散を検討すると発言した。その後、二階派(志帥会)と安倍派が相次いで「解散」を決めた。残る麻生派(志公会)などは存続の方針を維持しているが、茂木派(平成研究会)会長の茂木敏充幹事長は21日のNHK「日曜討論」で、「派閥の存続を前提とはしない」と発言しており、今後の対応が注目される。

自民党の自浄能力の発揮が求められるが、世論の期待は「派閥解散」に集約されない。先週末の各種世論調査によれば、信頼回復につながるかは懐疑的である。むしろ、再発防止のためには「政治資金規正法」の改正を求める世論が圧倒的である。

公明党は18日、政治改革本部長である石井啓一幹事長が「政治改革ビジョン」を発表した。派閥のあり方は自民党特有の課題であり、政治とカネをめぐる事件の再発防止のためには与野党共通の課題として政治資金規正法の改正が重要だ。柱は、収支の透明性強化と抑止力を高める罰則強化である。

骨子は①パーティー券購入者の公開基準を20万円超から5万円超に引き下げる②入金は口座振り込みだけにする③政党から個人に払われる「政策活動費」や全ての議員に支給されている「調査研究広報滞在費」の使途を公開する④収支報告書をデジタル化し、チェックする独立した第三者機関を創設する⑤収支報告書は国会議員が「確認書」を提出することとし、違反があれば罰金刑の対象とし、公民権停止の制裁を受けること―などである。

岸田首相は自民党の「政治刷新本部」で、今月中に「中間取りまとめ」を発表するとしており、茂木幹事長は先の番組で、「外部監査、公開基準、厳罰化、デジタル化などでは一致点があり、国会の議論で結論を得て法改正に取り組みたい」と述べており、より幅の広い与野党合意を目指したい。

(公明党代表)

【2024年1月24日(23日発行)付 夕刊フジ掲載】