被災地支援策の丁寧なマッチングが重要
2024.02.07
通常国会の本格論戦が始まった。焦点は、当面の最重要課題である自民党の政治資金問題だ。
私は2日の参院代表質問で、再発防止に向けた実効性ある政治資金規正法改正へ「岸田首相の断固たる決意を」と迫った。首相は「今国会で議論できるよう自民党の考え方を取りまとめる」とした上で「自分が先頭に立って国民の信頼回復に取り組む」と答えた。
岸田首相にはその意気込み通り、納得のいく結果を出してもらいたい。
自民党は最大派閥であった安倍派の解散が決まり、派閥の解消が進んでいる。無派閥となった議員は自民党議員の7割に及ぶ。
連立政権の運営にあたって公明党が望むことは、派閥のあり方そのものではなく、人事や政策をめぐって政治の停滞を招かないように自民党のスピーディーな意思決定の体制を整えることである。
最優先課題は何と言っても能登半島地震災害からの復旧・復興である。
私は先月21日、輪島市、穴水町、内灘町を現地調査した。地震による隆起、津波、土砂崩れ、液状化、火災などによる建物やインフラの損傷は激しく、被災者の切実な声と期待を厳粛に受け止めた。
調査に基づく緊急提言や予算委員会の質問などを受けて政府は「被災者の生活と生業の支援のためのパッケージ」を決定した。これから大切なのは、それぞれの被災者や被災地の実情に沿って財源を含めた支援策のマッチングを「先が見える」よう丁寧に進めることである。
そのためにも日本経済のデフレ脱却の勢いを加速させることが重要だ。持続的な賃上げが本命である。春闘は良いスタートを切った。ベースアップの裾野を拡大し、実質賃金の反転上昇のステップとなることを期待したい。鍵は雇用の7割を占める中小企業である。昨年10月に公明党が提言した賃上げ応援トータルプランを元に政府で決めた「労務費転嫁の指針」を徹底し、「生産性向上補助金カタログ」を活用するほか、拡充される「賃上げ促進税制」も大いに利用してもらいたい。
賃上げと6月実施予定の定額減税を合わせて家計の可処分所得が増加し、物価高に追いついて実質賃金がプラスになることを見届けたい。
また、「こども未来戦略」に沿って、今後3年間の加速化プランがどの支援策がいつどのように実施されるか当事者に分かるように情報提供していくことが効果を高める。財源の裏付けとともに明確にしていく議論が期待される。
国際社会が動揺し巧みな外交のかじ取りが望まれる中、岸田首相の国賓訪米が4月10日を軸に実現する。
直後の同月28日には衆院補欠選挙が3選挙区で行われる。国会前半の取り組みの中間決算となる。
(公明党代表)
【2024年2月7日(6日発行)付 夕刊フジ掲載】