政倫審前日の岸田首相からの電話
2024.03.06
2月29日、3月1日両日の衆院政治倫理審査会は、岸田文雄首相(自民党総裁)自らの申し出により、初の内閣総理大臣出席による異例の開催となった。
2月28日朝、岸田首相から「自分が政倫審に出席する」との電話に続けて曰く「大変ご心配をかけて申し訳ない。このままでは、国民の政治不信はますます深まるばかりであり、私自身が出席して、他の予定された議員の出席を促し事態を打開したい」と。私は一瞬驚いたが、首相の決断を了とした。
二階派、安倍派の事務総長経験者は「会計責任者の政治資金処理の内容は知らなかった」との発言に終始し、全容解明には程遠い。安倍派幹部の発言には食い違いがあり、経緯に不透明感が残った。
岸田首相は各派閥の会計処理の内容を知る立場にないとしながら、道義的責任のある議員については「党として処分をはじめ政治責任を判断する」と述べ、政治資金規正法を改正して「政治家本人も責任を負うことが重要」と指摘し、「監督などで過失があった場合には責任を問う(公明党の)考え方は参考になる」と語り、再発防止の取り組みの方向性を示した。
検察の捜査、党のヒアリング調査、衆院政倫審の審議でも全容は解明しきれていない。不透明な政治資金処理に政治家が「知らなかった」と言って責任逃れできないようにすることが、再発防止策の決め手となる。
公明党は政治家が会計責任者の選任または監督に相当な注意を怠った場合は罰金刑となる責任強化策を提案済みだ。罰金刑は現行法で公民権停止になるので実質的に連座制を強化することになる。
能登半島地震発生から2カ月が経過した。私自身被災地を2度訪れるなど、公明党のネットワークを生かした調査をもとに具体策の提言を重ねてきた。思うに任せないところもあるが、着実に生活や仕事の再建、道路や水道などのインフラ復旧が進み始めた。
11日には東日本大震災から13年となる。私は2日に福島県浜通りを訪問し、3カ所の視察と、関係市町長も出席した公明党福島県本部の「復興加速化会議」に参加し、内堀雅雄福島県知事とも会談した。強く感じたのは、復興が遅れているところに配慮すること、帰還を希望する住民の不安に応え、地域の復興につながるようにすること、「福島イノベーション・コースト構想」をバランスよく推進し力強い復興の牽引(けんいん)力を生み出すことなどである。
政府は、能登半島地震にこれまでの災害の教訓を生かすとともに、福島の原子力災害からの復興をやり遂げるメッセージを発し続け、継続的に防災対策を進化させる司令塔を確立してもらいたい。
(公明党代表)
【2024年3月6日(5日発行)付 夕刊フジ掲載】