規正法改正案 自民は透明性にもう一段の努力を
2024.05.29
自民党は、岸田文雄首相が党首会談で私に予告したとおり、単独で政治資金規正法の改正法案をまとめ国会に提出した。野党案も出揃い、22日に衆院政治改革特別委員会で、各党から法案の趣旨説明を、23、24の両日質疑を、27日参考人質疑をそれぞれ行った。
一通りの議論を経て、改正の目玉である議員の監督責任を強化し公民権停止に至る「連座制」の導入など方向性は一致している。政治資金パーティー券の購入者の公開基準や政策活動費のあり方では隔たりが大きい。28日から与野党協議が大詰めを迎える。
立憲民主党は、政治資金パーティーの禁止や企業・団体献金の禁止を訴えるが、同党の小沢一郎氏は非現実的として反対を唱え、大串博志選対委員長は一時、政治資金パーティーを計画するなど主張と実際の行動に整合性がなく、「たばこを吸いながら禁煙を訴えるようなもの」と厳しく批判されている。
自公の取りまとめでは、パーティー収入公開の上限を「現行20万円から引き下げる」との方向性を共有したが、自民党はさらに「10万円」との具体的な歩み寄りの姿勢を法案で示した。公明党は5万円との主張を譲るつもりはなく、日本維新の会と国民民主党も5万円を主張する。
政策活動費については、かつて自民党の総務局長など党の資金を扱う責任者を務めた鈴木宗男氏が、リアルな「使途公開の得失」をメディアのインタビューに答えていた。公明党の斎藤鉄夫氏は「公明党は政治家個人に政策活動費を出したことはなく、支障も感じない」と答弁した。立憲民主党はじめ3野党はかつて「政策活動費」を幹部個人に出しており、なぜ出したか、どこに使ったかなどをもう少し正直に語ったうえでそれぞれの法案を出した理由を説明してはどうか。
自公の取りまとめでは、公明党は政策活動費を出さないが、出す政党は使途の明細書を提出すべしとした上で、自民党が出した政策活動費を使用した議員が使途を公開するとの方向性まで共有した。自民党案ではさらに50万円を超える使途については、項目ごとの金額を報告し記載するとして、透明化の水準を示した。
公明党の石井啓一幹事長は、「従来の公明党の主張を継続していく」としつつ、自民党は「野党案の中で可能であれば積極的に受け入れる姿勢を示してほしい」と与野党協議による合意形成のあり方を述べている。
自民党には、なお厳しい世論を受け止め、参院の審議も視野に置きながら、柔軟な姿勢で与野党協議に臨み、政治資金の透明性向上にもう一段の努力を期待したい。
「つばさの党」の代表らが公選法違反容疑で逮捕された。過激な妨害行動をSNSに挙げて収益に結びつくことが妨害を助長しているとの指摘も見逃せない。現行法を厳正に適用し、不十分なところがあれば改正も含めて選挙の妨害を防ぐ手立てを検討すべきである。
(公明党代表)
【2024年5月29日(28日発行)付 夕刊フジ掲載】