次の世代が信頼得られる陣容を整えてきている
2024.09.18
去る10日の定例記者会見で、私はこの度の公明党代表選挙に立候補しないことを表明した。公明党の代表選挙は18日に立候補者の受け付けを締め切り、28日の党大会で選任される。10人の国会議員の推薦署名を添えて立候補の届け出をするが、これまで複数で争ったことはなかったので、1人しか届け出がなければ、事実上18日で次期代表が決まる。
衆参合わせて50~60人規模の政党で10人の推薦人を確保した候補者が相争うことは真剣に取り組むほど党を分断し、対立の芽を残してしまう。「団結第一」が立党の原点であることも忘れてはならず、国民のために政策実現することが大目的であり、複数で代表選を争うこと自体が優先するわけではない。推薦署名を集めるまでの過程で団結を保てる人望のある候補者に調整されていくことが続いてきた。
私が退任を決断した理由はいくつかあるが、まずは公明党の定年制のルールを基本としたことにある。党の活力を保持するために、次の任期中に70歳を超えるか、在職が通算20年を超えるかいずれかに当てはまる場合は立候補しないとのルールになっている。私は既にその例外であり、本来、前回2年前の代表選の時に退任すべきだった。この定年制の趣旨は議員の任期だけでなく、代表の任期にも当てはまるのではないかと思う。
選挙を前にすると、経験のある現職に代えて未知数の新人に委ねるリスクを懸念する声は起こりがちだ。しかし、いかに快活を誇ったとしても、寄る年波にはかなわない。こだわれば新人の伸びる芽を摘んでしまう。今の公明党は、この15年ほどで交代が進んだ世代が実力を磨き内外の信頼を得られる陣容を整えてきている。
欧米の政治家にも、国内の主要政党の政治家にも世代交代の波が押し寄せているように感じる。加えて、岸田文雄首相が総裁選不出馬を表明したことも私の背中を押してくれた。連立のパートナーである自民党の総裁が変わるのに公明党が旧態であれば、新総裁もやりづらかろう。そろってフレッシュコンビの推進力を発揮し国民に元気を与えてもらいたい。周りがしっかり支えて結束して臨むことが大切だ。今が潮時と判断した次第である。
自民党の総裁選が始まり、9人もの候補者がまさに「自由闊達(かったつ)」な論戦を繰り広げている。論点は多岐にわたるが、自民党が国民の信頼を回復するためにどうしていくかが問われていることを忘れてはならない。いまだに岸田内閣の支持率が低迷していることは国民が冷静な目で自民党を見ている証左といえよう。
27日に新総裁が決まり、翌日の公明党大会に来賓として招かれ、公明党の新代表とそろい踏みする。その後、自公で「政権合意」を結ぶ。政策論争を集約し、今後の主な政策目標を掲げて謙虚な政権運営の姿勢を確認する。
臨時国会が招集され、首相指名を経て組閣が終われば、その先は何が起きてもおかしくない。
(公明党代表)
【2024年9月18日(17日発行)付 夕刊フジ掲載】