中南米3カ国を公式訪問
2016.09.14
経済、人道、和平協力の意義
〜平和外交のウィング広げる旅になった〜
去る8月30日から9月8日まで、パナマ、コロンビア、キューバの中南米3カ国を初めて公式訪問した。折からパナマは拡張した新運河が今年開通し、コロンビアは政府と反政府ゲリラが和平合意したばかり。キューバは昨年、米国との国交正常化を成し遂げるなど、まさに時宜を得たものとなった。
中南米地域の安定と日本との経済協力の進展は重要であり、日系人社会との関係からも交流を深めることは意義がある。安倍晋三首相から各国首脳に宛てた「親書」を届けるべく会談に及んだ。
パナマ経済は運河の通航料収入に相当程度依存しており、最大の支払い国は日本である。日本の船会社は外国航路の船籍を登録料の安いパナマに便宜的に置いており、積荷の行き先別でも世界第4位と、お得意さんである。
大西洋側のシェールガスを新運河の大型船通過で日本に運べるようになる。また、運河を跨ぐ中南米初のモノレールシステムを日本が供与する計画もある。現地で、旧運河2本と新運河1本を次々と通過する船を間近で見るのは圧巻であった。
パナマと日本の関係をさらに強化するために、パナマ側の友好議員連盟のリストが国会議長との会談で示され、近いうちの訪日を約した。
コロンビアは、長年にわたる反政府ゲリラとの紛争にようやく終止符が打たれた。8月25日にキューバのハバナで和平合意がなされ、10月に国民投票に付される。私が初当選間もない1993年に訪れたときは、爆弾テロや誘拐事件が絶えず、宿泊先を一晩中装甲車に護衛されたものだ。
この機運を逃さず求められているのは、負の遺産ともいうべき対人地雷の除去である。資金源となるコカインを得るため、コカ畑のまわりに地雷を仕掛け、多くの人々が犠牲になってきた。カンボジアやアフガニスタンなどで実績を重ねてきた日本製の地雷除去機の出番である。こうした人道支援が経済協力とともに必要だと実感した。サントス大統領との会談でもこれらが要望された。
キューバは遠くて近い国である。キューバ出身のプロ野球選手やラテン音楽などで親しみを覚える人も多いだろう。最近、観光客も増えている。慶長遣欧使節として伊達藩の支倉常長が立ち寄ったのは402年前。米国との国交正常化を機に日本との要人往来が続いている。
私たちが会談したのは、ディアスカネル国家評議会第1副議長やロドリゲス外相など次世代指導者である。日本企業の進出条件や経済協力の具体的案件について協議するとともに、「核廃絶を求め、コロンビア和平にも労をとったキューバこそ北朝鮮への働きかけを」と求めた。
公明党の平和外交のウィングを広げる旅となった。(公明党代表)